FXのトレード種類の一つに短期売買を行うスキャルピングがあります。
数分から数秒で取引を終えるスキャルピングはその特徴から、隙間時間でトレードをしたい人や、短期間で大金を得たい人などが採用していることが多いです。
そんな隙間時間でもできる便利なスキャルピングですが、非常に難易度が高く、以下にあげるコツをつかまないと負けてしまいます。
この記事では、スキャルピングの手法を確立するために必ず押さえないといけないコツをまとめます。
Contents
スキャルピングで勝つためのコツ3選
スキャルピングで勝つためには、以下の要素が必要になります。
- トレード手法の勝率とリスクリワードレシオ(損益比)を理解する
- スプレッドやスリッページを考慮する
- ロット(取引量)をコントロールする
それぞれについて解説していきます。
トレード手法の勝率とリスクリワードレシオ(損益比)を理解する
トレード手法の勝率とリスクリワードレシオを把握することでトレード手法の特性を理解します。
これはリアルトレードを始める大前提として絶対にやっておくべきですね。
トレード手法を過去検証することでこれらのデータを把握するとともに、過去検証でたくさんのエントリータイミングのチャートを見ることで、リアルトレードの安定感を向上させることができます。
勝率とリスクリワードレシオを知らないでトレードするというのは、どういう理屈で勝てているか理解できていないケースが多いと思います。
そのため、トレードの成績の良し悪しを判断することが難しいので、負けているときの原因究明がしずらくなります。
ぜひトレード手法の検証をしましょう。
勝率とリスクリワードレシオの詳細は次の記事で解説していますので、そちらをご確認ください。
スプレッドやスリッページを考慮する
スキャルピングでは特にスプレッドやスリッページを考慮する必要があります。
スキャルピングは短期間で少ない利幅を数多くとる手法です。
獲得できる利幅が少ないため、スプレッドやスリッページから受ける影響がとても大きくなります。
そのため、スプレッドやスリッページを組み込まずに検証して、なぜかリアルトレードでは勝てない、というようなことが起こりえますので注意しましょう。
スキャルピングはスプレッドで負ける
スキャルピングの多くの手法は数pipsという小さな値幅をたくさん獲得する手法です。
トレードの回数も多く、場合によっては1日に数十トレード行うような場合もあります。
スキャルピングは次のような性質のためスプレッドの影響を強く受けやすい手法です。
- 小さな値幅を狙う
- トレード数が多い
値幅が小さくてスプレッドで負ける
値幅が小さいということは、利益のうちのスプレッドの比率が大きくなってしまうということです。
そのため、利益がスプレッドからの影響を受けやすいということです。
例えば、勝率60%で勝ったときに+5pips、負けた時にー5pipsとなるトレードの場合、スプレッドを考慮しないと、期待値は1トレードあたり、
$$0.6\times5 + 0.4\times(-5) = 1$$
ということで1pipsになります。
計算を理解する必要は特にありません、平均すると一回トレードするごとに1pipsずつ増えるということです。100回トレードしたらトータル利益は100pips位になります。
ということで、この数字だけ見れば非常に優秀なトレード手法に見えるのですが、ここではスプレッドが考慮されていません。
ではスプレッドを考慮するとどうなるでしょう。
例えばスプレッドが1pipsの業者だった場合、期待値は差し引き0pipsとなります。
つまり、トレードしてもしてもぜんぜんお金が増えないという結果になるのです。
一気に勝てるトレード手法が、負けトレードの手法に変化しました。
ここで着目してほしいのが、獲得利益は5pipsで、スプレッドは1pipsなので、一見あまり影響がないように感じてしまうというところです。
ここに、スキャルピングがスプレッドで負けてしまう罠があります。
ですので、検証ではスプレッドを考慮することが必ず必要になります。
トレード数が多くてスプレッドで負ける
次に、スキャルピングで負けてしまう理由の一つである、トレード数が多いことについて話します。
これは単純な話で、トレードの数だけスプレッドがかかります。
そのため、トレード数が多いスキャルピングは不利になります。
例えば1日10トレードするスキャルピングの手法で、スプレッドの異なる3社でトレードを行った場合の総スプレッドは次のようになります。
A社 | B社 | C社 | |
1トレードのスプレッド | 0.3pips | 1pips | 3pips |
1日での合計スプレッド | 3pips | 10pips | 30pips |
1か月での合計スプレッド | 60pips | 200pips | 600pips |
1年での合計スプレッド | 720pips | 2400pips | 7200pips |
スプレッドの差は一目瞭然ですね。
このように、1トレードあたりのスプレッドは小さくみえるのですが、積み重なるととても大きな額になります。
A社とC社で比べた場合、1年間1万通貨で取引をした場合、64万8千円の差が出ます。
この差額だけでしばらく生活できちゃいますね笑
ということで取引量が多いスキャルピングはスプレッドで不利を負っているのです。
スプレッドで負けない方法3選
スキャルピングはスプレッドで不利を負っていることはわかったけど、じゃあどうしたらいいのか?知りたいのはここだと思います。
主なスプレッドの対策は次の3つです。
- 利幅を多く取れる手法にアレンジする
- ボラティリティの大きな通貨で取引する
- スプレッドの小さな業者に乗り換える
1.利幅を多く取れる手法にアレンジする
大きく利幅をとれる手法にすることでスプレッドの影響を受け辛くすることができます。
ただ、これをするとそもそもスキャルピングではなくなってしまう可能性もありますね笑。
とはいえ、手法を検討している際に、スプレッドの観点から、利幅を多く取れることがメリットになることは頭に入れておきたいです。
2.ボラティリティの大きな通貨で取引する
ボラティリティの大きな通貨で取引をすることでスプレッドの影響を小さくすることができます。
ボラティリティとは価格の変動の大きさを指します。
例えば先ほどの例で同じ勝率60%の手法で勝ったときに+10pips、負けた時にー10pipsとなるトレードの場合でスプレッド非考慮だと、期待値は1トレードあたり、
$$0.6\times10 + 0.4\times(-10) -1 = 2$$
ということで2pipsになります。
つまり、スプレッドが1pipsだったとしても期待値は1トレードあたり+1pipsとなり勝てるトレード手法になります。
ですので、ボラティリティの大きな通貨にすることでスプレッドの影響を小さくできます。
ぜひ、ボラティリティの大きな通貨選択を検討してみてください。
もちろん通貨ごとに値動きの特性が異なったりするので、通貨ごとにトレード手法の検証はするようにしてください。
所感ですが、スキャルピングで勝っている人にポンドでしかトレードしない人が多いなーと思っていたのですが、この計算をしたときに、納得がいきました。
ポンドはボラティリティが比較的大きな通貨なのでスキャルピングに向いているのかもしれません。
3.スプレッドの小さな業者に乗り換える
単純にスプレッドの小さな業者に乗り換えるという方法です。
これが一番簡単で、手法のアレンジもいらず、追加で検証もする必要がないためおすすめです。
業者って、初めなんとなくで開設して、なんとなく同じ業者を使い続けている人多いと思います。
それは、どこも同じようなものだろうという気持ちがあるからだと思いますが、ことスプレッドにおいては取引成績に大きな影響を与えますので、ぜひスプレッドベースで業者を選択してみてください。
結構成績に差が出てくると思います。
先ほど計算しましたけれど、年間6480pipsをドブに捨てる人で居続けるか、今から年間6480pipsを節約できる人になるかという簡単な選択ができるかが勝てるトレーダーと負けるトレーダーを分けるといっても過言ではありません。
これを機にスプレッドが小さな業者を選択してみましょう。
スキャルピングはスリッページで負ける
先ほど説明した通り、スキャルピングはスプレッドのようなコストから大きな影響を受けるトレード手法です。
そのため、スリッページの影響も大きく受けてしまいます。
ですので、スリッページを考慮しないと負けてしまうので、しっかりとスリッページを織り込んでおく必要があります。
スリッページには大きく以下の3種類があります。
- 業者スリッページ
- 心理スリッページ
- 時間スリッページ
これらの用語は私が勝手にそういっているだけなので検索しても出てこないかもしれません。1つづつ解説します。
業者スリッページ
この業者スリッページは、一般的な意味でのスリッページです。
つまり、業者がトレードを約定するまでの間に値動きが発生した場合、注文した値段から少しずれて約定されてしまうことにより発生するスリッページです。
注文の約定能力は業者によって大きく異なります。
そのため、約定能力の高い業者を選択することで、スリッページ負けのリスクを下げることができます。
心理スリッページ
これは、初心者によく起こりがちなスリッページで、エントリーするか悩んでしまい、タイミングを少し逸した後にエントリーすることで獲得できる利幅が小さくなってしまうスリッページのことを言います。
同様に、もう少しでエントリータイミングになるからとフライングでエントリーしてしまう場合なども心理スリッページに当たります。
検証の際は落ち着いてタイミングを考えることができるのですが、リアルトレードでは考えていられる暇がないです。
特にスキャルピングは、数秒~数分で取引をするため、瞬時の判断が必要になるトレード手法が多いです。
そのため、スキャルピングに慣れてない人は、心理スリッページが多発し検証では勝てるのにリアルトレードでは勝てないという結果になります。
スプレッドのところでも話した通り、たった1pipsのコストがかかるだけで勝ちトレードが負けトレードに代わってしまうくらい繊細なスキャルピングでは、このような心理スリッページが発生する場合、勝ちを納めるのがとても難しくなります。
時間スリッページ
時間スリッページは、チャートから目を離していた隙にエントリータイミングが過ぎてしまっていて慌ててエントリーするような場合のスリッページです。
スキャルピングの場合、乗り遅れたらそのエントリーは諦めるくらいのストイックさが必要です。
理由は、スプレッドのところで述べた通り、少しのコストで勝ちトレードが負けトレードになるからです。
時間スリッページに関しても、心理スリッページと同様にトレードを練習することで、飛び乗りたい気持ちを制御できるようにする必要があります。
焦る気持ちを抑えることができなければ勝ちを納めることが難しくなります。
1トレードで6回も起こるスリッページの本当の怖さ
スリッページの本当の怖さは、その発生回数で一回のトレードで最大6回起こります。
というのも、エントリーとエグジットの2つのタイミングで先ほど話した3種類のスリッページが組み合わさって発生します。
そのため、最大6回のスリッページが発生します。たとえそれぞれが1pipsだったとしても6pipsの損失を被ることになります。
これは、スキャルピングにとって大きな損失となり、スキャルピングで勝てない1つの要因になります。
そのため、スリッページを対策することはほぼ必須となります。
スリッページで負けない方法2選
スリッページで負けない方法は次の二つです。
- 約定能力の高い業者を使う
- トレードをたくさん練習する
約定能力の高い業者を使う
これは、業者スリッページの対策です。
業者スリッページは約定能力の高い業者を使用することで対策することができます。
そのため、スプレッドが安く約定能力が高い業者選択が必要になります。
FXの業者はスプレッドが高く設定してあるから高い約定能力を持っているというわけではありません。
むしろ取引コストが安い業者は高い約定能力を持っている傾向があります。
安かろう悪かろうということは全然ありません。
ですので、FX業者選択はスプレッドが小さく高い約定能力のある業者を選択するべきです。
3つのスリッページのうち業者スリッページは、業者を変えるだけで勝ちトレードにつなげることができるお手軽な方法です。
約定能力の高い業者を使うと、約定能力の低い業者は体感かなり遅く感じます。
詐欺にでもあってる気分になるような遅い業者ってあるんですね。
ですので、約定能力の高い業者を使いましょう。
トレードをたくさん練習する
これは、心理スリッページと時間スリッページの対策です。
心理スリッページと時間スリッページはトレードを練習する以外に直す方法がありません。
特に動いているチャートでの練習が不可欠になります。
野球選手が素振りをたくさん練習して、やっとホームランが打てる選手になるような理屈で、トレードでも練習するというのは勝つために必要になってきます。
動いているチャートでの練習は平日しかできず、なかなかやり辛いです。
私は、トレードの練習はForex testerというツールを使っています。
Forex testerは過去チャートをリアルチャートのように動かしてトレードの練習ができるツールです。
また、チャートを倍速で動かすこともできるので、とても効率的に練習することができるのでおすすめです。
ロット(取引量)をコントロールする
スキャルピングでは1回のトレードにおける損失の値幅が小さいので、大きなロットをはれることが魅力の一つです。
ただし、正しいロットのコントロール方法を知らないと、収益を伸ばす足かせとなりますので、注意してください。
ロットを誤るとリスクリワードレシオが低下する。
ロットを正しくコントロールできないと同じ手法でトレードをしてもリスクリワードレシオが下がってしまいます。
特に、証拠金いっぱいいっぱいにロットをはっている場合は注意してください。
例えば、5枚でトレードしていて、利益が出たので6枚はれるようになったので次のトレードから6枚にロットを上げたとします。
ロットをあげた次のトレードは負けだったとします。そうすると次のトレードでは5枚しかはれなくなります。
このように、負けて枚数がはれなくなってしまう場合には、検証して調査したリスクリワードレシオよりも低くなってしまいます。
通常、検証した時のリスクリワードレシオは同じ枚数でトレードすることを前提に計算されていると思います。
ですが、先ほどの例のようにはれる枚数が異なると、リスクリワードレシオのバランスが崩れてしまいます。
特に、負けて枚数がはれなくなる場合、負けるときに大きな枚数をかけていて、以降のトレードでは負けた時よりも小さな枚数しかかけられなくなってしまうので、一時的にバランスを崩してリスクリワードレシオが低下してしまいます。
例えば先ほどの例で、6枚で負けて5枚しかはれなくなった場合。負けの比率が1.2倍大きくなります。
そのため、ロットコントロールは非常に重要になります。
ロットは比率で決める
私がおすすめするのはロットを比率で計算する方法です。
1枚張るのに必要な証拠金のX倍増えたら一枚増やすといった感じですね。
この倍率は本人が許容できるリスクによると思います。
トレード手法にもよりますが2倍くらいで設定していたらそこそこ固いトレードできると思います。
ただし、ロット数は資金の増え方に直結するので、それこそ本人がよく考えて設定することが重要です。
ですので、リスクリワードレシオが低下しないように、あるていど負けても枚数がはれなくならないような余裕を持たせてロットを上げていきましょう。
まとめ
かなり長い文章になりましたが、まとめるとスキャルピングで勝つには以下のことが重要です。
- 検証して手法の勝率とリスクリワードレシオを理解する
- スプレッドが低く約定能力の高い業者を選択する
- トレードを練習して心理・時間スリッページを起こらなくする
- ロットコントロールをして、リスクリワードレシオのバランスを崩さないようにする
これらのコツをおさえてスキャルピングで勝ちトレーダーを目指しましょう。